自転車フロント用15mmアクスルハブの軸を内側からチャックする工具。
分解状態はこれ。
ハブに取り付けた状態はこれ。
さて、なんでこんなものが必要になったかというと、
ちょっと古いシマノの15mmスルーアクスルハブ(家のはHB-M778)の軸は、左側の軸側ボールレースが軸に圧入されていて、右側の軸側ボールレースはシャフトにねじ込んでロックナットで押さえて、その上にアルミのエンドキャップをかぶせる構造になっている。
右側
左側
軸
これをグリスアップのため分解する場合、右側エンドキャップをマイナスドライバー等でこじって外して、23mmのコーンレンチと22mmスパナorモンキーレンチで分解できる。これを組み立てる際、シャフト側にはスパナを掛ける部分が無いので、ボールレースとロックナットの締め合わせだけでベアリング予圧を調整してロックしなければいけない。最後にぎゅっと締める時に、シャフトが右ボールレースについて回るかロックナットについてまわるか確定しないので、調整を追い込むのが難しくて、結局ガタガタになるかゴリゴリになるか、どちらかでお茶を濁すことになる。
K-エンヂニアリング的には、調整技術を磨くよりは工具を作ってしまえ、という事になる。本当は、シマノがハブ軸にスパナを掛けるカットを入れてくれればよかったんだが。
今回作った工具でのハブ玉押し調整方法は、
1.ボールレースをややガタがある状態に取り付けて、ロックナットを緩めに締める
2.調整工具を取り付ける。
3.調整工具をスパナで押さえて、ロックナットを締めこんで予圧がジャストより気持ち重めに締める。
4.ボールレースをコーンレンチで押さえてロックナットをモンキーレンチできっちり締める。
ものの数分でぴったり調整できる。
因みに新しいハブの軸部はこんな格好をしている。写真はHB-M8010。
右側
右側、プラスチックキャップを外したところ
左側
左側のシャフト端にはレンチ用カットがあり、右側のボールレースとシャフト端キャップが締め合わせで固定されているように見える。ちゃんと直してきてるじゃないか。22mmのコーンレンチは持っていないので、グリスアップが必要になるまで開けない。
以下、工具の製作過程。ボディ、コレット、コーンの3部品をワンチャックで削る。
シャフト内面との勘合部を削って、
コーンのテーパーを削り、
ネジを切って、
突っ切り。
チャックの爪を修正してから、突っ切りが安定するようになって気分がいい。(ミニ旋盤スクロールチャックの修正)ワークの支持剛性は重要。
穴を開けてからコレットのテーパーを片側削って、
溝を掘って、
突っ切り。
ボディのテーパーを削って穴を開けて、
ひっくり返してキャップスクリューの沈み穴を掘る。
さっき突っ切ったコレットの反対側のテーパーを削って、
ボディとチャックをフライスに載せて六角を削る。
六角は前にパラメータ駆動の汎用Gコードを作ってあったので、簡単。
ところが、削っているうちにチャックがずれて、段ができてしまう。もう一回作り直したもんだか5分くらい考えたが、まあそんなに使うものでもないし、そのまま行くことにする。
芯を取り直してそのまま削る。
今度、チャックをフライステーブルに固定する治具もつくらなきゃいけないなぁ。
バイスに乗せ換えてメタルソーでコレットを3つにカット。
メタルソーも前は苦手だったんだが、フライス主軸をメンテナンスしてから安定して切れるようになった。(フライスXH-20主軸のメンテナンス)
あとはバリを取って完成。こういった組み合わせ物を作るのは結構楽しい。
まあしかし、シマノが構造を変えてきてるので、旧型対応のこの工具は、3回使えばいい所か。
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