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2019年12月2日月曜日

15MMアクスルハブ用玉押し調整工具を作る

こんなものを作った。
15MMアクスルハブ用玉押し調整工具完成状態

自転車フロント用15mmアクスルハブの軸を内側からチャックする工具。
分解状態はこれ。

15MMアクスルハブ用玉押し調整工具分解状態

ハブに取り付けた状態はこれ。
15MMアクスルハブ用玉押し調整工具取り付け状態

さて、なんでこんなものが必要になったかというと、
ちょっと古いシマノの15mmスルーアクスルハブ(家のはHB-M778)の軸は、左側の軸側ボールレースが軸に圧入されていて、右側の軸側ボールレースはシャフトにねじ込んでロックナットで押さえて、その上にアルミのエンドキャップをかぶせる構造になっている。

右側
ハブHB-M778 軸右側


左側
ハブHB-M778 軸左側

ハブHB-M778 シャフト周り部品


これをグリスアップのため分解する場合、右側エンドキャップをマイナスドライバー等でこじって外して、23mmのコーンレンチと22mmスパナorモンキーレンチで分解できる。これを組み立てる際、シャフト側にはスパナを掛ける部分が無いので、ボールレースとロックナットの締め合わせだけでベアリング予圧を調整してロックしなければいけない。最後にぎゅっと締める時に、シャフトが右ボールレースについて回るかロックナットについてまわるか確定しないので、調整を追い込むのが難しくて、結局ガタガタになるかゴリゴリになるか、どちらかでお茶を濁すことになる。
K-エンヂニアリング的には、調整技術を磨くよりは工具を作ってしまえ、という事になる。本当は、シマノがハブ軸にスパナを掛けるカットを入れてくれればよかったんだが。


今回作った工具でのハブ玉押し調整方法は、
1.ボールレースをややガタがある状態に取り付けて、ロックナットを緩めに締める
ハブ玉押し調整手順1.



2.調整工具を取り付ける。
ハブ玉押し調整手順2.


3.調整工具をスパナで押さえて、ロックナットを締めこんで予圧がジャストより気持ち重めに締める。
ハブ玉押し調整手順3.


4.ボールレースをコーンレンチで押さえてロックナットをモンキーレンチできっちり締める。
ハブ玉押し調整手順4.


ものの数分でぴったり調整できる。

因みに新しいハブの軸部はこんな格好をしている。写真はHB-M8010。

右側
ハブHB-M8010 軸右側

右側、プラスチックキャップを外したところ
ハブHB-M8010 軸右側 プラスチックキャップを外した状態


左側
ハブHB-M8010 軸左側

左側のシャフト端にはレンチ用カットがあり、右側のボールレースとシャフト端キャップが締め合わせで固定されているように見える。ちゃんと直してきてるじゃないか。22mmのコーンレンチは持っていないので、グリスアップが必要になるまで開けない。

以下、工具の製作過程。ボディ、コレット、コーンの3部品をワンチャックで削る。

シャフト内面との勘合部を削って、
玉押し調整工具製作工程1.勘合部切削

コーンのテーパーを削り、 
玉押し調整工具製作工程2.コーンのテーパー切削

ネジを切って、 
玉押し調整工具製作工程3.コーンのネジ切削

突っ切り。 
玉押し調整工具製作工程4.コーンの突っ切り
チャックの爪を修正してから、突っ切りが安定するようになって気分がいい。(ミニ旋盤スクロールチャックの修正)ワークの支持剛性は重要。


穴を開けてからコレットのテーパーを片側削って、
玉押し調整工具製作工程5.コレットのテーパー切削

溝を掘って、
玉押し調整工具製作工程6.コレットの溝切削

突っ切り。
玉押し調整工具製作工程7.コレットの突っ切り

ボディのテーパーを削って穴を開けて、 
玉押し調整工具製作工程8.ボディの穴開け

ひっくり返してキャップスクリューの沈み穴を掘る。
玉押し調整工具製作工程9.ボディの沈み穴切削

さっき突っ切ったコレットの反対側のテーパーを削って、 
玉押し調整工具製作工程10.コレットのテーパー切削


ボディとチャックをフライスに載せて六角を削る。
玉押し調整工具製作工程11.ボディの六角切削
 六角は前にパラメータ駆動の汎用Gコードを作ってあったので、簡単。
ところが、削っているうちにチャックがずれて、段ができてしまう。もう一回作り直したもんだか5分くらい考えたが、まあそんなに使うものでもないし、そのまま行くことにする。
芯を取り直してそのまま削る。
今度、チャックをフライステーブルに固定する治具もつくらなきゃいけないなぁ。

バイスに乗せ換えてメタルソーでコレットを3つにカット。
玉押し調整工具製作工程12コレットの切断

メタルソーも前は苦手だったんだが、フライス主軸をメンテナンスしてから安定して切れるようになった。(フライスXH-20主軸のメンテナンス
あとはバリを取って完成。こういった組み合わせ物を作るのは結構楽しい。
まあしかし、シマノが構造を変えてきてるので、旧型対応のこの工具は、3回使えばいい所か。


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