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2020年9月7日月曜日

フライスMX-20のリードスクリュー支持ベアリング交換

 ここ半年ほど、フライスのY軸を+方向に送るとゴロゴロ音と振動が出るのは知っていて、ベアリングにキリコでも入ったんだろうな、と思いつつほったらかしにしていた。先日SCM材を側面円弧切削していて、45°方向近辺にギザギザが出ることに気付き、重い腰を上げてベアリング交換することにした。

削り面拡大はこんな感じ。

ギザギザの出た削り面

円弧の45度近辺、Y軸が+方向に動くところに強く出る。Y軸がマイナス方向では出ない。X方向だけ、Y方向だけ動くところでは出ない。

Y軸駆動部外観がこれ。

Y軸駆動部外観
ベアリング部は一応アルミテープでカバーしている。確かカバーは随分後で追加したはず。

モータとカップリングを外すとこんな状態。ありゃりゃ、これはまずいでしょう。
キリコが付着したリードスクリュー支持ベアリング部

モータ軸周辺にもキリコがくっついてる。
キリコが付着したステッピングモータ軸部

ベアリング回りもキリコだらけ。
キリコが付着したリードスクリュー支持ベアリング部詳細
アンギュラベアリングはシールドが付いていないので、ケアしてやらないと異物は入り放題。

ベアリングを抜いてみると、グリスがやけにメタリックな感じになってる。(写真はY+方向支持用、つまり奥側。Y-方向の手前側は、外側はキリコまみれだが、グリスも回転も特に問題無かった。)
リードスクリュー支持ベアリングのグリスの状態

ベアリングは一応洗って損傷具合をチェックした。
洗いかす。
リードスクリュー支持ベアリングの洗浄かすの金属片

フレーク状の金属片がたくさん。キリコそのままもいくつか。フレークはアルミのキリコがボールでのされたか?

ボール。ちょっと茶色っぽくなっているような気がするが、目に見える傷はない。
リードスクリュー支持ベアリングのボールの状態

外輪、内輪、リテーナー。
リードスクリュー支持ベアリングの外輪、内輪、リテーナの状態

傷は見当たらない。リテーナーは、内側の溝部分に金属フレークがぎっちり入っていた。
ベアリングは見た目きれいなので、洗って組んでもう一度使おうか、とも思ったが、組んでみるとやっぱりごろごろするので、新品交換。

さて、トラブルが出たのにベアリング交換だけでは反省が足りない。
キリコ対策を含め、もっときちんとした構造にしたい。
とはいえ、当座削るものもあるので、今はあまり時間をかけたくない。
で、ごみ除けのワッシャーを挟むことにした。アンギュラベアリングが7001なので外径Φ28、穴径Φ12。ワッシャーを入れるなら、外径Φ27くらいか?

最初、丸棒から削ろうかと思ったが、結構手間がかかるので板から作ることにして、ジャンク箱をあさって、端材のA5052 t1板を見つけだす。

金のこで外周を切ってドリルとカウンターシンクでΦ12穴を開け、(カウンターシンク外径がΦ12だったので。これだと板にきれいに丸穴が開く。)
アンギュラベアリングのシールドワッシャ製作 穴開け

切り離してバリを落とし、
アンギュラベアリングのシールドワッシャ製作 切り離し

2枚重ねてM12ボルトナットで固定してスクロールチャックで咥えて、
アンギュラベアリングのシールドワッシャ製作 旋盤チャッキング

外周を落としてΦ27とする。
アンギュラベアリングのシールドワッシャ製作 外周削り

バリを落として出来上がり、と思ったが、
アンギュラベアリングのシールドワッシャ製作 中間

仮組してみると、外輪とこすれるので、今度は1枚づつ再チャックして外側をΦ24まで0.3mm削る。
アンギュラベアリングのシールドワッシャ製作 旋盤で段差削り

出来上がり。こんなラフな治具もどきでも案外ちゃんと削れる。
アンギュラベアリングのシールドワッシャ製作 完成

薄い丸物は棒から作るより板から作るほうが楽、でした。

部品を洗浄して、ベアリングは新品にグリスを詰めて、
フライス盤Y軸リードスクリュー支持部部品

組立。シールドワッシャは奥にも付いてる。これで少々の異物は防いでくれるはず。
フライス盤Y軸リードスクリュー支持部ベアリングシールドワッシャ組付け状態


組みあがったらバックラッシを確認してMach3のバックラッシ補正値を見直し。

フライス盤Y軸バックラッシ測定

元0.042→0.056と若干増やした。バックラッシは位置によって違うので、補正値は最小値に合わせた。実バックラッシより補正値のほうが大きいと、補正動作時にぴょこんと動くので。
バックラッシの位置による違いは詳しく見ていくとなかなか悩むところで、小さい周期で案外大きく変動する。(最大-最小差が0.04mmくらいか?)おそらくリードスクリューのピッチのよろけか偏心の影響。(偏心が支配的だと思う。)これは別途ちゃんと確認しようと思う。

補正が終わったら、またアルミテープでカバーする。
フライス盤Y軸リードスクリュー駆動部外観(再組立後)

ベアリング交換前の円弧切削面(前出と同じ写真)
ギザギザの出た削り面(対策前)

ベアリング交換後。
ギザギザのない削り面(対策後)

ゴロゴロ音もなくなったし、とりあえずはこれで合格とする。
X軸は異音もないので、今は開けない。


2020年1月26日日曜日

回し金(Lathedog)を作る

こんなものを作った。回し金。
回し金(lathedog)完成状態

英語では Lathedog というらしい。なんでだろう?噛んでるから?
使い方はこんな感じ。
回し金使用状態

両センターで受けたワークに取り付けて、面板の回転を伝える。
最近、両センター加工するものがあって、十数年前に間に合わせで作った回し金で作業した。
回し金 間に合わせ

しかし間に合わせはやはり間に合わせで、収まりは悪いし、なんせ回転数を上げると振動が大きい。どれ、作るか、と。
せっかく作るので、ちょっと一工夫。面板と勘合するピンの位置をアジャストして重心調整できるようにした。
回し金の位置は勘合するワークの径によってずれるので、重心もずれる。
そこで、ML-210用の面板の長穴の範囲でピン位置をスライドさせて、回し金の重心が軸芯に一致させられるよう、CADで重心を確認しながら各部品寸法を決めた。対応ワーク径はΦ6~Φ26。

以下製作過程だが、丸物の写真はなし。
本体は、有り物のA2017 t=10.
Φ3のロングネックエンドミルで穴と外周を削る。外周は分離しないように薄皮1枚残す。今回0.3mmとした。
回し金 本体切削1 穴、外周

面取りして
回し金 本体切削2 表側面取り

裏返して再度面取り。
回し金 本体切削3 裏側面取り

ここで薄皮も切り落とす。(薄皮厚より面取りが大きくないと段差が残る。)
途中で止めてクランプし直さないとワークをすっ飛ばしてしまう。(このパターンの加工を久々にやって、すっかり忘れていて危なくすっ飛ばすところだった。)

ねじを立てて完成。
回し金 本体切削4 ねじ立て

部品一式
回し金 部品一式

重心を調整する時は、ワークが自重で回転するようにセンターの押し付けを弱くして、回し金のピンが勘合しないように右側に寄せて仮留めする。
回し金 重心調整

重心調整はばっちり。
調整ノブが右側に出っ張るので刃物を寄せられないのが邪魔になる場合があるかもしれない。




2020年1月19日日曜日

フライスの原点出し用コーンを作る

こんなものを作った。
先日作ったチャック取付アダプターを使う時に、チャック中心とフライス原点を合わせるための治具。フライスのコレットに咥えてチャック固定治具のセンター穴に押し付けると治具センターとフライスの主軸中心が一致する、というもの。
フライスで丸物の中心に原点を合わせるのは、手間がかかるのでちょっとおっくうだったが、これがあれば簡単。
フライスの原点出しコーン使用状態

単体はこれ。
フライスの原点出しコーン単体

(後端のへそは写真を撮った後で削った)
テーパー部と軸部の同芯度が欲しいので、ワンチャックで削る。
材料はS45C生材Φ25。
ちょっとチャックに対して突き出しが長すぎるので、無理をするとずれて同心度が狂うので、無理しないように削る。
(実は左勝手バイトで軸部を削っているときにワークがチャックからすっぽ抜けて飛んでしまった。まあ、そんな場合も仕上げ前ならもう一回咥え直して軸部とテーパー部を通しで削れば大丈夫)

製作過程は以下。
ブランクをスクロールチャックで咥えてテーパーアタッチメントで60度テーパーを削る。
製作過程1 テーパー部旋削

右勝手バイトと左勝手バイトでΦ12ストレート部を削る。 
製作過程2 軸部を右勝手バイトで削る

製作過程3 軸部とコーンの肩を左勝手バイトで削る

後端の面取を入れてから、 
製作過程4 軸部後端の面取り

突っ切り。 
製作過程5 突っ切り

本当は熱処理したほうがいいかもしれない。減るぐらい使ったらまた考えよう。