ラベル

2017年9月27日水曜日

バキュームフォーミングでピックテストのカバーを作る

手ぼこなもので、4~5年前にピックテストを落としてカバーを割ってしまった。それからは、キリコが入って嫌だな、見にくいな、と思いながら使い続けてきた。
そもそもこんな精密機器を落としてはいけない訳で、メーカーに送って修理がてら校正してもらうのが筋なんだろうが、今回、アマチュアだし、お金もないし、と自分に言い訳して作ることにした。旋盤がNCモドキになるとやることが沢山出てくる。
当初、ポンプの窓と同じように削り出せばいいかと思っていたが、板厚0.8mmでチャッキングが難しそう。
ということで、今回は、バキュームフォーミングで作ってみた。

先ずは構造用合板でバキュームヘッドと樹脂板ホルダーを作る。
盛大にバリ、欠けが出る。
やっぱり木工用の刃のほうがいいかな。回転数ももっと上げたい。
今回はパテを盛って磨いて仕上げてしまう。
これがバキュームヘッド。



こちらは樹脂板ホルダ。


次、NC旋盤もどきでアルミから型を作る。


型はバフで磨いて、

こんな感じ。


ヘッドと組み合わせると、



樹脂ホルダにアクリルt1.0を挟んで、ヒートガンで炙って、バキュームヘッドを押し付けて掃除機で引く。
第1号はこんな出来。


勢い余ってコンクリの床に意匠面を押し付けてしまってガサガサ。

その後、何回かトライするが、中々うまくいかない。
問題点は下記3点。



もっと均一に暖めなければいけないかと、オーブンで暖めてみる。
150℃10分→まだカチカチ。
150℃20分→まだ駄目
200℃10分→まだ駄目
200℃20分→いけそう→縁が引けない。
300℃10分→まだだめ。
300℃度20分→いけそう→縁が引けない。
樹脂板ホルダはこんがり焼け色が付いたが、どうも上手くいかない。

原因を考えてみる。
①型のアルミで樹脂が冷える。
②樹脂板の面積が足りない。(伸び代がもっと欲しい。)
③バキュームヘッドの圧力損失が大きい。
④掃除機のパワーが足りない。

まあ、どれもあるのだろうが、簡単に試せる①について対策してみる。
→型を予熱してみる。
もう一度ヒートガン式に戻って、型を炙ってから樹脂を暖める。
monotaroの放射温度計で測ると、型が100℃程度、樹脂が200℃程度。
この温度計は一体どのくらいの誤差が出るのかさっぱり分からなくて、
いつも測っては見るが信用出来ない。


縁と皺は、だいぶいいようだ。
ぶつは相変わらず出る。
ルーペで覗くと、あぶくがある。暖めすぎで樹脂が気化したのか、元からあった泡が膨張したのか、たぶん後者のような気がする。

取り合えずぶつには目をつぶって、一番いい出来のもので仕上げることにする。
旋盤に型を咥えてカバーを当て、パットセンターで押さえて耳を切り落とす。

元のカバーと直径が合うように高さで調整してできあがり。

ぱちんと嵌め込んで、完成。
おしまい。





2017年9月10日日曜日

自転車ヘッドの圧入 フライスのテーブル送りネジユニットを流用して圧入工具を作る

おまちかねの新しい自転車フレームが届いた。
塗装したままなので、完全にばらばらの素材状態。

ベアリングの嵌め合いの状態を確認しながら圧入する所から始めるわけだが、現物を確認してまずい事に気付く。ヘッド小物が圧入されていない。
テーパーヘッドの下ワン、1.5inch。これは圧入力が大きいし、ワンはアルミだし、簡単には入らない。本来は専用工具が必要。送る前にここだけはお願いしておけばよかった。
昔はヘッド小物に当て木をしてハンマーで叩いて入れたりしたが、もうそんなことはしないと決めている。
さて、どうやって圧入しようか。

一番簡単な方法から順番に試すことにした。
先ずはフライスのテーブルにフレームのヘッドを乗せて、
ヘッド小物を乗せた上からプレートを当てて、主軸で押してみる。
うーん、うまくいく気がしない。絶対齧る。
普段扱っているベアリング類の圧入は、平行にさえ気を付ければ大概この手の方法でなんとかなるが、今回は手強い。物も大きいし、圧入代も大きい。

※もしこの方法を参考にされる方がいるならば、主軸のベアリングを痛めるリスクを考慮の上、自己責任で。本当は、せめてもう一手間掛けて、主軸スリーブ(回らない部分)で荷重を受ける冶具を作って、主軸ベアリングには荷重がかからないようにしたほうがいい。

ついでに、ベアリングを圧入する場合、外輪圧入なら外輪を、内輪圧入なら内輪を押して、ボールレースに圧痕を付けないようにする。今回のケースはカップだけでベアリングは入っていないので関係ないが。


次、ヘッド小物に当てるカラーを作って主軸で押す。


これなら平行は出せそう。
クイルハンドルで押してみる。びくともしない。
Z軸の駆動を掛けてみる。モータは脱調するが、やはりびくともしない。
無理せずさっさと諦める。

しょうがない、ネジで引くことにする。
M8~M12くらいが必要かな。探してみるが、長いボルトがない。
M6ずん切りならあるが、ちょっと細すぎて無理そう。
本来なら角ネジで引きたい所、と考えたところで、フライスのテーブル駆動ネジ
が余っているのを思い出した。ネジバックラッシ改善のため外したもの。ネジはTr14X2、なおうまいことに、スラストベアリング付きのハウジングとキー固定のハンドルもついている。

先ほど作ったカラーのセンターにΦ14の穴を開けて引っ張ればいけそうな気がする。



下側をモンキーレンチで咥えて、平行を確認しながらハンドルを回す。

ばっちりはいった。良かったよかった。
しょっちゅう使うなら、ハンドルを大きくしたい。




後はピボット類のベアリングを圧入、シャフトを通してプレート類を組み付けてフレーム完成。今日はここまで。