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2019年12月23日月曜日

車修理その3-2 スプリング圧縮工具とすり割りクランプ広げ工具を作る(PEUGEOT206SW)

こんなものを作った。
Peugeot206SWのスプリング圧縮工具とすり割りクランプ広げ工具
Peugeot206SWのスプリング圧縮工具とすり割りクランプ広げ工具。

Peugeot206のフロントショック/スプリングを外す場合、スプリング長を1G状態程度で保持しておかないと、ロアアームの動作範囲よりスプリング/ショックユニットの自由長が長いので、分解組立に難儀する。サスペンションのスプリング座には穴が開いていて、長ネジ等を通してスプリングを圧縮したままにすることが出来る。引っ張る部材はM6の寸切りボルトで問題ないのだが、上の後ろ側は手が入らなくてナットを押さえに行けない。
そこでどうするかというと、荒っぽくやるならこんな感じ。
Peugeot206SWのスプリング圧縮工具 荒っぽい版

寸切りボルトをバーナーで炙って焼きなましてからバイスに咥えてハンマーで叩いて折り曲げて引っ掛けを付けて、曲げて太った部分をグラインダーで削り落とす。インシュロックで留めているのは引っ掛けの外れ止め。

Peugeot206SWのスプリング圧縮工具使用例

馬を掛けた状態でブレーキディスクにジャッキを掛けて1G状態程度まで押し上げておいて、上側のスプリング座に寸切りボルトを引っ掛けて下側をナットで留めておく。

上側の外れ止めの状態。 
Peugeot206SWのスプリング圧縮工具荒っぽい版抜け止め
長穴で寸切りボルトがずれないように丸棒を詰めておく。外れ止めが無いと、うっかりすると引っ掛けが外れる。(1回やった)

これはどうもあか抜けない、と思っていたら、ネットでこれ用のSSTの記事を見つけた。これはいいね、とまねして作ってみた。
作り方は、なんてことない旋盤とフライスの加工。手持ちのSUM22Φ10棒材で作る。製作過程は省略。
Peugeot206SWのスプリング圧縮工具切削完


同じ記事に出ていたのがナックルのショックユニットを受けるすり割りクランプを広げる工具。すり割り部に長方形断面の棒を入れて回転させて広げるものらしい。
これはすばらしい。前回はナックルをハンマーで叩いて抜いていた。こんな荒っぽいやり方はできればしたくない。これも作ってみる。

こちらはSK3で作って焼き入れすることにする。長方形ではなくて、丸の2面カット形状とする。まずは旋盤でブランクを作って、
Peugeot206SWのすり割りクランプ広げ工具旋盤加工完

フライスに載せて六角を削り、 
Peugeot206SWのすり割りクランプ広げ工具六角部フライス加工

ひっくり返して2面削り。 
Peugeot206SWのすり割りクランプ広げ工具2面部フライス加工

削り完了。 
Peugeot206SWのすり割りクランプ広げ工具切削完

バーナーで炙って水で冷やして焼き入れ。 
Peugeot206SWのすり割りクランプ広げ工具 SK3を焼き入れ

焼き入れ完了。
Peugeot206SWのすり割りクランプ広げ工具焼き入れ完

表面を磨いて、
Peugeot206SWのすり割りクランプ広げ工具 酸化膜を磨き


もう一回バーナーで炙って焼き戻し。
Peugeot206SWのすり割りクランプ広げ工具 焼き戻し完
焼き入れの時よりそっと炙って、全体が濃い茶になったところで完了。(260℃くらいか)

これをこんな具合に使うわけだが、
Peugeot206SWのすり割りクランプ広げ工具 使用状態

最初、2面幅をボルトが締った状態で測って6mm、円筒部をΦ7mmで作ったら掛かりが浅すぎてほとんど広がらない。再度、ボルトを外した状態で測って2面幅7.5mm、円筒部10.5mmとしたら、今度は2面幅はいいが円筒部が大きすぎて回せない。

無理するとナックルを壊してしまいそうなので、円筒部を再度削る。
Peugeot206SWのすり割りクランプ広げ工具 寸法調整

 さすがに焼きを入れた工具鋼は硬い。いままで家の旋盤で削った中で一番硬いんじゃなかろうか。超硬のバイトをきちんと研いで、取り代0.025mmで削る。3100rpmで直径を10mmとして切削速度は100m/minくらい。削っている途中で刃がへたってきて、刃の食い込みが怪しくなる。刃を研ぎながら直径0.5mmづつ落としては試して、結局Φ9.5mmで角部をダイヤモンドヤスリで丸めてOKとした。
Peugeot206SWのすり割りクランプ広げ工具 完成品


で、使ってみると、これはすごく良い。先のスプリング圧縮工具を掛けておけば、ショックユニットをぐりぐり回しながら手で抜ける。こうでなくちゃね。

スプリング圧縮工具の方はこんな感じ。
Peugeot206SWのスプリング圧縮工具 使用状態
写真は上側スプリング座と工具のおさまり。座の当たり面が殊の外狭くてRになっているのでちゃんと収まっていない。回り止めの四角部分も効いていない感じ。これでは傷がついちゃうし。次開けるまでに作り直そう。

で、今回何をしたかというと、、、
家の206は、微妙に右に曲がる癖がある。なんとかならないかとずっと考えていたのだが、前回フロント回りを整備したとき、右の車高が左より10mm程低いことを見つけた。
どうもスプリングがへたっているようでもある。で、一回左右のスプリングを入れ替えてみようと思った次第。実際分解して測ってみると右のほうが10mm程度短い。
今回作った工具を使って分解、左右のスプリングを入れ替えてみた。
結果、まだ右のほうが5mm程低い。走らせてみても、良くなったような、変わらないような。うーん、次はリアをいじってみるか。

関連記事:車の修理3題 その3-1 ストラットアッパーマウント交換(PEUGEOT206SW)




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