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2019年12月17日火曜日

テーパー抜き用CAP再製作

こんなものを作った。
フライスMX-20主軸テーパー抜き用キャップ 工具を掛けた所
フライスMX-20主軸のテーパー抜き用キャップ。

キャップを外した所。 
フライスMX-20主軸テーパー抜き用キャップ 外した所


以前作ったテーパー抜き用キャップを使っていて、使い勝手が悪い所に気付いた。
MX-20の主軸はほぼボール盤のような構造になっていて、ハンドルで主軸が上下できるようになっている。ところが、以前のキャップを主軸の上端に取り付けると主軸プーリーにつっかえてストロークが取れない。普段エンドミルを付けて使う分には関係ないが、ドリルやタップを付けてZ軸を手送りするとあれ?となる。
フライスMX-20主軸テーパー抜き用キャップ 以前自作したもの

ストロークが欲しい時にはキャップを外せばいいのだが、ボルトが沢山あって手間なので、キャップを作り直すことにした。
フライスMX-20主軸テーパー抜き用キャップおよびスリーブ 部品単体

キャップ(左)とスリーブ(右)の2ピース。スリーブを主軸穴に接着して、キャップをねじ込む。キャップ外径は主軸外径より細くして、主軸が下がったときも主軸プーリーに当たらないようにした。
ねじ部はM17P1.5左。ネジの谷径はドローボルト頭径より大きくないとキャップがはまらない、山径は主軸のスプライン谷径より小さくないと、分解するときプーリーが抜けなくなる。ねじは左ねじにしないと、ドローボルトを緩めて突っ張らせる時に共回りする。こんな変なねじもミニ旋盤で切れちゃうのは面白い。
ドローボルトはΦ9.8、主軸の穴はΦ11.42程度。ここに入るようにスリーブを作ると、穴径Φ10、軸径Φ11.40として肉厚0.7mm。結構薄いので、強度が足りるかどうか計算してみた。

フライスMX-20主軸テーパー抜き用キャップ強度計算




































ドローボルトの締付トルク(実際には緩め方向だが)は、レンチ有効長130mm、きつく締まっている時の緩め力の手勘10kgfより仮定。
そうすると、ドローボルトの軸力が6800N程度。ここから4パターンの強度を計算した。
(1)M17ねじ部のせん断
ねじ勘合長5mmとして、有効径にせん断力がかかるとした。S45Cの標準降伏点345MPa(この数字はちょっと怪しい気もするが)で安全率9.9。余裕だね。
(2)キャップ強度。キャップ断面積(外径Φ21内径Φ17)の断面積で引っ張りを受けるとした。安全率6.1。これも余裕。
(3)スリーブの接着強度
接着長20径Φ11.4として、嫌気性接着剤LOCTITE638の対鋼せん断強度と比較、安全率3.0。まあこんなもんでしょう。あまり強すぎると外したくなった時困るし。
(4)スリーブの筒強度
これが問題。外径Φ11.4内径Φ10の断面積で引っ張りを受けるとして、応力320MPa、これは中々大きい。安全率2は欲しい、とするとS45C生材では厳しい。熱処理しようかとも思ったが、自信がないので、何かないかな、と考えると、家にSCM440調質の端材があった。耐力900MPa程度。これなら安全率2.7とれる。

以下製作工程
まずスリーブから。
端材を4つ爪チャックで咥えてスリーブの軸部を削る。
スリーブの軸部をML-210で削る

硬いは硬いが案外削りやすい。
超硬バイトでガシガシ削ると焼けたキリコがきれい。
SCM-440調質材をML-210で削ったキリコ

軸外径を削ったらドリルで下穴を開けてから中ぐり、面取り。
スリーブの軸部中ぐり

次、ひっくり返してねじ部外周を削る。
スリーブのねじ部外周削り

 おねじ切り。
スリーブのおねじ切り
この時は動力を入れるのが怖くてチャック手回しで切ったが、後でやり直す。

次、キャップ。
外周、内面と削って、 
キャップの外周、内面削り

めねじ切り。 
キャップのめねじ切り
どうも手回しだと切れが悪い。ある程度切削速度があったほうがいいようだ。
で、動力で切ることにした。バイトを穴に突っ込んで、切り込みをかけてから動力ON、バイトが出てきたらSTOP。
主軸500RPMねじ有効径Φ16として切削速度25m/s程度、切り込みは0.025mm/回 程度。バイトはハイス。

スリーブとキャップを現物合わせで入るようにする。
おねじとめねじの現物勘合
本当はスリーブのおねじを仕上げて、それに合わせてキャップのめねじを削るつもりだったが、スリーブのおねじがあまりに太すぎたので、再度めねじに合わせて削るはめになった。

キャップはひっくり返してチャック部分を突っ切り。
キャップの突っ切り
ちょっとびびり気味だったのでジュラコン材を介してセンターで押した。

あとは端面を仕上げて旋盤作業はおしまい。 
キャップの端面仕上げ

次、フライスに移って、頭に四角穴を掘る。
フライスMX-20で3/8四角穴掘り
四角は3/8ラチェットに勘合させるためのもの。まあ普通に使っていて、回すのに工具が必要になることはないと思うが、念のため。

ラチェットがはまることを確認してからチャックを外す。 
四角穴とラチェットハンドルの勘合確認


ドローボルトの頭は長年ハンマーで叩いたので変形して太くなっている。
ドローボルト頭変形状態

このままではキャップに入らないので、旋盤で整える。 
ドローボルト頭を旋盤で修正

後は、フライス主軸の穴内面をペーパーで軽く舐めて、脱脂して、
フライス主軸穴を脱脂

LOCTITE638をスリーブに塗って押し込み、ドローボルトを軽く締めて、軸をヒートガンで炙る。(80℃くらい。接着剤が硬くてなじみが悪そうだったし、気温が低いので硬化時間を短縮したかった。)
スリーブをフライス主軸に接着

後はカバーを付けて完成。軽く動かしてみた感じは、良さそう。ちゃんとトルクを掛けるのは、接着強度がちゃんと上がった、2~3日後かな。
フライス主軸テーパー抜き用キャップ完成状態

12/19追記、ちゃんと締めて、緩めてみた。接着が外れそうな不安感はない。以前のものより緩める時の剛性感が上がって、気分良し。チャックを外すのが簡単になったので、コレットチャックとドリルチャックの差し替えが苦にならない。

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