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2019年4月19日金曜日

フライスXM-20主軸のメンテナンス(その1 チェックとグリスアップ)

最近フライス加工時に刃物がびびりがちなので、主軸にピックテストを当てて揺すってがたを確認したところ、主軸端のXY方向で0.1mm前後。正常なら0.01mm前後だった気がする。これは何か変だ、という事で久しぶりに主軸ユニットを取り出して確認した。

主軸ユニット
MX-20主軸ユニット


これを更に分解してベアリングをチェックする。

主軸下端の円錐ころ軸受け。

ミニフライスMX-20主軸下端の円錐ころ軸受け
これはまずい状態。グリスは残っているが、赤錆色だ。

ベアリング内輪も外す。これが手で外れる時点で具合が悪い。ここは本来圧入だろう。
フレッチング摩耗が起きて赤錆色の摩耗粉が出ている。
ミニフライスMX-20主軸下端の内輪接触部

マイクロメータで寸法を確認する。Φ35mmに対し、シャフト側がジャスト0.00、内輪側が+0.02。シャフトの寸法は微妙、内輪は結構減っている。(後程シャフトをちゃんとクリーニングして測りなおしたら、-5/1000程度だった)

ミニフライスMX-20主軸下端の円錐ころ軸受け単体洗浄前


洗った状態。ローラーに焼け痕がある。

ミニフライスMX-20主軸下端の円錐ころ軸受け単体洗浄後


外輪。当たりにムラがある。真円度があやしい?

ミニフライスMX-20主軸下端の円錐ころ軸受け外輪の玉当たり


 洗った後の内輪+ころ。
ミニフライスMX-20主軸下端の円錐ころ軸受け型番

内輪に32906X、とある。32900番台はちょっと高いんだよな。

とりあえずグリスを塗って、組んでおいた。グリスは定番のマルテンプSRL。
別途ベアリングは手配して、届いたら再分解する。外輪取り外し/圧入冶具を作らないと。

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2019年4月11日木曜日

ローレットホルダーを作る

ML-210用にローレットホルダーを作った。
ローレットホルダ完成図

ローレット加工は、円筒形の素材に、外周にギザギザのついたローレット駒を押し付けて、ギザギザを転写するもの。駒だけでは使えないので、ホルダーがいる。

随分前にローレット駒を買ったままほったらかしにしていたが、ローレットのノブを作る必要がでてきて、重い腰を上げた。
形状は「ミニ旋盤を使いこなす本(ISBN4-416-39031-9)」を参考にアレンジ。
材料は例によってストック品で賄う。
ホルダーとTスロットナットはFC、アームはS45C(キー材を削った。)シャフト類はS45C。ローレット軸は焼き入れした。ネジはSUS304のずん切りボルト、ノブはMONOTAROのノブスターのキャップに穴開け追加工。スプリングは近所のコーナンで、何か別件用に昔買ったもの。
ローレットホルダ分解図

旋盤に取り付けた状態はこれ。
ローレットホルダーを旋盤ML-210に取り付けた状態

今回の新しいトライはアームの穴2か所。ローレット駒用Φ6.35をジャスト0で、回転軸Φ8の穴を+0.02で開けたい。ドリルではこの精度は無理があるし、Φ6.35ドリルは少々お高い。Φ8はリーマも持っているが、下穴Φ7.5では取り代が大きすぎてフライスがオーバーロードで止まってしまう。
で、今回Dビットを作ってみた。要は断面がD形状の一枚刃のリーマのようなもの。
Dビット

これは説明すると長いので、別項で。
結果、上手いこと狙い通りの精度で穴を開けられた。

使い方は以下
旋盤でブランクをチャックして、刃物台にローレットホルダーを取り付ける。

ローレット切り作業 初期

上から見た図
ローレット切り作業 初期 上から


ローレットホルダーのノブを締めこんで旋盤を低速で回転させ、縦送りを掛ける。

ローレット切り作業中

適当な深さにローレットが出来るまでノブを締めこんでは縦送りする。
出来上がり。
ローレット切り作業完了



完成状態のノブ。
完成したローレットノブ

なんだか、ローレットのピッチの半分ピッチでできてしまった。
ちょっと慣れが必要なようだ。
これを何に使うかも、別項で。

2019年4月8日月曜日

自転車リアショックメンテナンス(CaneCreekDBInline)

18K(今メインで乗っているMTB)で新しくテストしている部品があり、サスペンションにちょっと厳しめの負荷をかけて下ってみた。結果はなんだかパッとせず、うーんそんなものか、と思いながら車に自転車を積んでいて、ダウンチューブに何か付いているのに気付いた。
CaneCreekDBInlineハイスピードリバウンド調整ノブからオイル漏れ


確認すると、ハイスピードリバウンド調整ノブからオイルが漏れている。またお前か、しょうがないなぁ、とか言いながら、開けてみる。ヘッドキャップを外すとこんな感じ。オイルが減ってダイヤフラムが内部機構に貼り付いている。おっと、破ける前でよかった。 
CaneCreekDBInlineダイヤフラム部


フレームに垂れた量に比べてオイル減少量が多い気がする。他にも漏れているんじゃないか?
見えにくいところとしてはピストンロッドシール辺りが気になるので確認すると、こんな感じ。 
CaneCreekDBInlineエアチャンバー内部確認


付着しているオイル量が多い気はするが、前回のオイル交換で随分あふれさせてあちこちはいりこんでいるので、何とも言えない。

次、問題のハイスピードリバウンド調整部を開けてみる。 
CaneCreekDBInlineハイスピードリバウンド調整ノブ分解


Oリング溝はきれい。 
CaneCreekDBInlineハイスピードリバウンド調整ノブ単品

写真は無いが、ハウジング側もきれい。傷、異物は見当たらない。
Oリングも問題ないように見える。 
CaneCreekDBInlineハイスピードリバウンド調整ノブOリング
サイズ実測値は線径1.8mm内径11mm。ということは、多分AS568-013(線径1.78mm内径10.82mm)。

バルブスプリングも確認。 
CaneCreekDBInlineハイスピードリバウンドバルブスプリング

んー、なんか異物が付いてる。
今後の為に寸法確認。線径1.45mm内径6.6mm自由長13.5mm3.5巻。

ついでにハイスピードコンプレッション側も開けてみる。
CaneCreekDBInlineハイスピードコンプレッション調整ノブ分解

こちらも問題なし。Oリングはコンプレッション側と同じ、スプリングは線径1.45mm内径6.5mm自由長13.5mm4巻。

今回はここまでにして、一旦組むことにする。前回とやり方を変えて、今回はブリードポートからオイルを入れてみることにする。で、ブリードポートボルトを開けてみると、Oリングに齧りあり。あれあれ、なんか挟まってる。
CaneCreekDBInlineブリードポートボルト異物噛み込み


Oリングを外してみると、 
CaneCreekDBInlineブリードポートボルト分解

金属片が挟まっている。ボルトのOリング溝を突っ切りバイトで削った時の切り子のように見えるのだが、、、(もちろんこのボルトは自分で作った訳ではない)うーん、こんな調子だと、一回完全にばらしてチェック-洗浄したほうがいいな。
因みに、こんな状態でも今回ここからのオイル漏れはなし。
Oリングサイズ実測値は線径1.45mm内径2.75mm。このサイズだと近いのはS3(線径1.5mm内径2.5mm)AS568には近いものが無い。ふーん、ここはメートル系かい。

ブリードポートからオイルを入れる。上から入れるよりエアが抜けやすくて具合がいいように感じる。 
CaneCreekDBInlineブリードポートよりオイル注入

さて、今回、エア抜き用に専用工具を用意した。
いつもの何てことない削りものシリーズ。
右の管は塩ビ管(VP30)にOリング溝を掘ったもの。左の蓋はPC8mm板を丸く削って側面にOリング溝を掘ったもの。 Oリングは管がS32、蓋はS28。(工具の情報源はここ http://twentysix.ru/blog/126924.html
CaneCreekDBInlineオイルブリード工具

これをショックユニットヘッド部にかぶせてオイルを足して、ユニットをストロークさせる。
CaneCreekDBInlineオイルブリード工具によるエア抜き

これは具合がいい。オイルが噴き出すのを気にせずにどんどんストロークさせられる。オイルまみれにならずにクリーンに作業できるのは気分がいい。泡がでなくなるまでストロークさせたら、余分なオイルを注射器で吸い上げてから筒をはずす。あとは空気がはいらないようオイルをこぼしながらダイヤフラムを嵌めてトップキャップを取り付けてAFPガス※チャンバーを加圧して完了。

今回、AFPガス※チャンバー圧は10bar、オイルは前回からA.S.D FD OIL#15(15.5cSt@40℃)を使っている。

(※訂正 AFP→IFPの誤記です。なおかつ、IFPはInternalFloatingPistonの略だがここではフローティングピストンではなくダイヤフラムなのでIFPも正しくない。CaneCreakの資料ではNitrogen gas chamberとなっているが、今回窒素は使ってないしなぁ、ということでとりあえずガスチャンバーと変えました。でもエアチャンバーと紛らわしいし、どうしたものか。呼び名はまた変えるかも。)

ちなみに、net情報ではCCDBの規定圧は6-7bar、正規オイルは Ohlins Shock Absorber Fluid #309(13.70cSt@40℃)だそうだ。ただし、DBAIRInlineにも適用されるのか、よくわからない。(情報源:https://ridemonkey.bikemag.com/threads/ccdb-service-manual-anybody.244605/

6-7barというのはかなり低い印象。思うに、エアショックでは、エアチャンバー圧に対抗してエアの混入を防ぐためにガスチャンバー圧も高めのほうがいいんじゃなかろうか。

シール類を入手後、改めてオーバーホールすることにする。(その2