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2019年7月11日木曜日

真空ポンプメンテナンス


 ジャンク扱いの真空ポンプを手に入れた。
油回転ポンプという形式、島津製の年齢不詳。
真空ポンプは前から気になっていた。この手の機器を、私は勝手に「人類の技術遺産」と呼んでいる。ネジの発明とか蒸気機関の発明、みたいな。油回転真空ポンプは1905年にドイツのゲーテさんが発明した形式。
今回、真空そのものも欲しかったが、ポンプの構造も見たいので、分解しやすいようなるべく古そうなものを探した。新しいちゃんと動いているのを分解するのは気が引けるし。本当は別体式のものが良かったのだが、どうも高いので、直結式で手を打った。

通電するとモータは回るので、オイルを入れたら動くだろうけど、全分解してクリーニング。
 rotary vacuum pump SHIMADZU SC-100


 ボルトを外してプラハンマーで軸方向に叩いて外す。まずはオイル室カバー。
パッキンで貼り付いている。
SHIMADZU SC-100 オイル室カバーを外す


続いて、オイル室とシリンダーの隔壁。
こちらはパッキンはないが、スプリングピンで位置決めされている。
SHIMADZU SC-100 オイル室とシリンダーの隔壁を外す


 隔壁のシリンダー側。ベアリングは。擦れ痕はあるが、案外きれい。ベアリングは6001。
SHIMADZU SC-100 オイル室とシリンダーの隔壁


 シリンダー-モータ間もスプリングピンで位置決めされている。
SHIMADZU SC-100 シリンダーを外す


外したシリンダー。
SHIMADZU SC-100 シリンダー


 ベーン。FRPのようだ。それ程減っていない。
SHIMADZU SC-100 ベーン


シリンダーとモータ部の隔壁。ちょっと傷があるのでダイヤモンドヤスリで軽く舐めた。

SHIMADZU SC-100 シリンダー-モータ隔壁


モータ回転子のシリンダー側ベアリング。NTNの6203。特に問題ないので交換はしない。

SHIMADZU SC-100 モータ回転子のシリンダー側ベアリング


モータ回転子の反対側ベアリング。こちらは何故かKOYOの6201。どちらか交換したのかな。こちらも問題なし。
SHIMADZU SC-100 モータ回転子の外側ベアリング



分解した部品一式。
SHIMADZU SC-100 部品一式



組み立ててオイルをいれる。オイルは真空ポンプ用。
真空ポンプ用オイル TASCO TA117-1


入れ口はここ。排気口のキャップを外して入れる。
SHIMADZU SC-100 排気口



量はオイルゲージのセンター狙い。200mlくらい。
SHIMADZU SC-100 オイルゲージ


これで完成、と思ったら、一晩置いたらオイルが下に垂れている。シリンダーの合わせ目から漏れているようだ。
SHIMADZU SC-100 オイル漏れ



こういう時は液体ガスケット。(かな?)元はどうしていたのかわからないのだが。(面精度だけでオイル漏れを止められる程の仕上げではないし、パッキンを追加するクリアランスはない。シール剤を塗った痕跡もなし)
定番のスリーボンド。

Liquid Gasket ThreeBond 1211


オイルを抜いてからもう一回ばらして、ついでに前回見なかったリードバルブもばらして確認。問題なさそう。
SHIMADZU SC-100 バルブ


液体ガスケットはシリンダーの当たり面に薄く延ばす。

SHIMADZU SC-100 シリンダーに液体ガスケットを塗布 表


反対面も塗って再組立。
SHIMADZU SC-100 シリンダーに液体ガスケットを塗布 裏


締め付けるとちょっとはみ出すくらい。内側の油溝側にどれだけはみ出したか気になるが、まずはそのまま動かすことにする。
SHIMADZU SC-100 液体ガスケットはみ出し状態


翌日油漏れチェック&試運転。
オイル漏れは無し。負圧は-0.097MPa(G)(ゲージ圧)。
絶対圧は、大気圧としてざっくり0.1MPaを足して、0.003MPa(A)。
定格ラベル表記からはもっと下がってもいいのだが、ポンプのコンディションの問題か、リークの問題か、ゲージの精度の問題か。
いずれにしてもゲージ圧で-0.1MPaを下回ることはないわけだから、このゲージで見れる精度はこの程度、と考えるのが無難な気がする。
SHIMADZU SC-100 再組立後試運転

これで何をするかはまた別途。

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