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2017年4月21日金曜日

旋盤横送り台アリ溝修正


ML-210のアリ溝は横送り台がアルミ、刃物台が鉄で出来ている。
キリコがかかる位置なので、それなりに磨耗する。家のML-210は使い始めて17年、アリ溝が部分的に磨耗して、すこぶる調子が悪い。外周削りで使う範囲は緩く、緩い部分にあわせてジブ調整すると、中繰りする範囲はものすごく渋くなる。コンパウンドを付けてすりあわせたり、ヤスリで当たってみたりしたが、あまりよくならない。もう我慢ならん、ということで、フライスでアリ溝を削って修正する事にした。

1.初期測定

フライスに乗っけて平行出し。Z軸回りは平ガイドの内側面をピックテストで当たる。面粗度が悪いけど、一応機械加工面なので、細かい凸凹は無視してトレンドで合わせる。
X軸回りはシムテープで調整。0.01mm1枚でほぼOK。Y軸回りはそのまま。


平面度を確認する。
アリ溝のほぼ中央をねらって、縦方向3か所の高さをピックテストで測定。
右上、左上は一番手前の高さを0とした。
右下と左下の高さ原点は同一。

初期 単位[mm]
縦方向位置 左下 左上 右上 右下
93 -0.11 0.02 -0.06 0.05
46 -0.115 0.02 -0.02 0.018
1 -0.077 0 0
0
















2.刃物の用意
アルミ板で作ったゲージに合わせてフライカッターの刃をグラインダーで成形、120°に合わせる。
刃物はスチールφ5丸棒に超硬の破片をロウ付したもの。

3.切削

(1)横送り台底面

先ずは左底面から削る。

刃先をV溝の際に寄せて、一回Y方向を手前に逃がしてZ方向に切り込み、Y方向に手送り。
ああ、こんな風に減ってたんだね。
ちょっと削り残しがあるけど、右底面も削ってみる。
削っている途中で悩み始める。
完全に削り残しがなくなった時点で左側面より0.05mm程高い。これを今削ってしまうのは勿体無くなってきた。現状のフライスの精度にいまいち自信がない。ちゃんと調整してから再トライするときの為に、削り代を残しておいたほうがいいんじゃないか?

結局、一晩悩んだ挙句、そのまま削らずにおくことにした。

(2)横送り台側面
いよいよ側面の切削
そもそもこのやり方を思いついたから、アリ溝を削って修正しようと思った。
アリ溝カッターがなくても、フライカッターを60度に整形して当たり幅を小さくして、座標計算で斜めに移動して、Z方向ピッチを狭くすれば、手研ぎで刃物の角度精度が少々悪くてもちゃんと精度は出るし、ビビりも出にくいし、いいんじゃないか。
アリ溝角度は60°だからX=Z×(1/tan60°)+切り込み量としてGコードを作って、とりあえずZピッチ0.5mmでやってみる。Gコードについては、新たに覚えたことが色々あるので別途まとめる。
先ずは切り込み量0.01mmでテストカット。
ちょっと筋が出る。歯の下側が深い(歯が尖りすぎ)ようなので、フライスにつけたまま歯の下側をダイヤモンドヤスリで少し丸める。
もう一回、今度は切り込み0.005mmで削る。今度は良いようだ。
フライカッターの側面切削は、削れている様子が目で見えるから面白い。
修正後
(3)切削後測定

修正後 単位[mm]
縦方向位置 左下 左上 右上 右下
93 -0.015 -0.01 0 0.015
46 -0.015 -0.005 0 0.015
1 0 0.02 0 0



(4)刃物台切削

フライスから旋盤を下して、刃物台の切削。
右側はジブが入るから計3面。
削る量が最小になるように、平面の平行を出してから削る。鉄とアルミだから刃物台側はほとんど減っていないかと思ったけど、結構中凸になっていた。

4.組立
切削面をダイヤモンドヤスリでちょっとなめてから、組み立てる。特に問題なし。ジブ調整して動かしてみる。これは良い。全ストロークで重さの変化は感じられず、なめらかに動く。こんなことなら、はやくやっとけばよかった。


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