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2018年6月10日日曜日

丸パイプチャッキング冶具を作る(その2 構造解析による形状検討)

3.チャッキング冶具最適形状検討

丸パイプチャッキング冶具は完成し、ダンパーユニットのメンテナンスもできたわけだが、万力でダンパーユニットを咥えた時の違和感が気になる。
軽い力でしくっと固定できることを期待していたのだが、なんだか固定力が弱くて、しっかり固定するとダンパー筒を変形させそうな手勘。
冶具の剛正不足か?と構造解析で様子を見てみる。
1/8モデルを作って、筒と冶具、冶具と万力口金を接触解析にする。
(X軸、Y軸、Z軸それぞれ1/2)

(1)荷重条件検討
実際に分解したときのモーメント荷重は、300mmのモンキーレンチで10kg程度の荷重を掛けたので
0.3*10*9.8=29.4N・m

ダンパー筒の半径を12mm、冶具とダンパー筒の摩擦係数を0.5として、
滑らないために冶具にかける荷重は、
29.4/12*1000/0.5₌4900N

1/8モデルで掛けるべき荷重はこれの1/4で1225Nとなる。

(2)解析モデル
こんな形にした。
オレンジがパイプ、藤色がチャッキング冶具、グレーが万力口金。


(3)解析結果
接触解析は時間がかかるイメージがあったが、
あっという間に終わった。(200秒程)





冶具の脇の剛性が低いので、楕円変形がやや強い印象。
冶具幅を振って最適値を探る。


冶具幅は全幅だが変形量はいずれも半径値。縦は上方向が+(半径が小さくなる方向)
横は右方向が+(半径が大きくなる方向)、縦横差は縦+横とした。

現状は冶具幅26mm程度、ダンパー筒径Φ24mmに対してぎりぎりだが、
冶具幅35mmにすると、変形量が約1/3となる。そこから先は広げてもあまり変わらない。
この状態で、縦横差は0.1mm程度あり、ちょっと大きい気がするので、もう少し改善を図る。

改善策はこれ。

図が細かくて見にくいが、バイスとの当たり面の中心部に逃がしを入れている。深さ0.2mm、幅を振って変形量の傾向を見る。締め付け時に横方向も締まるようにモーメントを掛ける目論見。



逃がし幅20mmを過ぎた当たりから横変形が減少して、23mmくらいでマイナスに転じる。
やりすぎると、横方向が小さくなる方向で変形量が増えていく。

(4)結論
今回の冶具形状での良いバランスは、冶具幅は円筒直径の1.5倍以上、逃がし幅は円筒直径と同じくらい、と理解。
ダンパーユニットの伸びオリフィス部を分解するのに径違いの冶具が必要になるので、次はそんなバランスで作ろう。

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