ラベル

2018年5月27日日曜日

ハイドレーションパック乾燥器



ハイドレーションパック用乾燥器を作る。


自転車で山を走る時はハイドレーションパックを使っている。
使い勝手は申し分ないんだけど、使い終わった後が問題。
水を抜いて干しておいても、何日も乾かない。そして、カビが生える。
かびたら、漂白剤を入れておくと落ちる(見えなくなるだけ?)のだが、
かなり不愉快だ。
干すときの吊り下げ方を工夫したり、針金ハンガーを曲げて口から突っ込んでみたりしたが、どれも今一感あり。
去年新しいのに買い替えて、今度のはかびさせないぞ、という決意の元、
乾燥器を作った。


完成図はこれ。


裏側はこんな感じ。

以下製作過程。
12mmのべニアの端切れから、NCフライスでドーナツ形+段付きを切り出す。
このくらいだと、DXFでツールパスを書く必要はなし。直接Gコードを書き出す。

刃物は、今回木工用1枚直刃を使った。ねじれ角がないせいか、むしれが出なくて具合がいい。樹脂加工もこれを使ったほうがいいかも。

出来たブランクを旋盤に咥えて溝掘り。
チャックは面板を使って、中心をずん切りボルトで引く。
素材側は適当なワッシャがなかったので、手持ちのギア(ネジ切り用)を当てた。


刃物部拡大。
素材径が100mmとML-210のほぼ限界で、刃物台の引き代が無かったので、
刃物の固定はかなり荒っぽいことをしている。
刃物台を斜めに固定して、突っ切りバイトを直接刃物台に載せて、ボルト一本で固定。
金属切削でこんなことをやったら、たぶん刃がはじけ飛んでひどい目にあう。
木工なら案外大丈夫。 

後は木ネジでシロッコファンを固定。
本当は電池ボックスもネジ止めして電池駆動とするつもりだったが、
5VのFANはエネループ2本では起動もしなかった。
ので、急遽、穴を開けてDCジャックを固定、5VのACアダプタ駆動とした。
(穴あけ写真は無し)



シロッコファンは、アマゾンでだいぶ前に買ったもの。確か5個で1000円くらい。
中国から船便で来るので、えらく時間がかかった記憶がある。

使い方はこんな風。
ハイドレーションパックは水洗いして、中にたまった水はタオル等で吸い取っておく。
バイトバルブはハイドレーションパックの中に転がしておく。
開口部に乾燥器を嵌めて電源を入れる。
FANが回ると袋がぷくっと膨れて、空気は一部がチューブから、残りは袋口と乾燥機の隙間から出てくる。
今の時期(五月)だと3時間くらいできれいに乾く。気分爽快。





きちんとした形で、もう一回作ろうと思う。

2018年5月15日火曜日

電話相談(古いフリーハブのトラブルシューティング)

日曜日は早起きして山に自転車乗りに行った。走っているうちに雨が降り出して、山から出たらザーザー降り。昼前に帰って自転車の掃除をしていたら電話が鳴った。
来週自転車イベントに出る友人から。フリーが前にも後ろにもフリーになった、とのこと。当然走行不能。
彼が古いマビッククロスロックを使っているのは知ってる。2003年くらいか?クロスロックの構造は知らないが、同世代のクロスマックスSLが家にある。
以下、やり取り概要。

私:グリスの硬化か水が入ったかラチェットの摩耗だけど、君の使い方だと摩耗の可能性は低いねぇ。
分解してパーツクリーナで洗ってオイルを入れて組みなおせば直るんじゃない?

友:雨の日に乗った記憶はないなぁ。どうやるの?

私:クロスマックスだと、シャフト左端にキャップがはまっていて、引っ張って外すと10mmの六角穴が開いてる。シャフト右端には5mm六角穴が開いていて、レンチをかけて回すと右端の中間シャフトが抜ける。そうするとフリーボディーが抜けるから、内側を洗えばいい。でも、クロスロックの構造は知らないんだよね。
まずはスプロケットを外してフリーボディをきれいにしたい。外せる?

友:工具はあり。外してから電話する。

友:うちのは、シャフトの左右とも六角ナットだよ。手でまわるんだよね。写真送るね。

ハブ右側

ハブ左側

私:ありゃりゃ、緩んじゃってるね。※これは誤解であることが後に判明。
どんどん緩めたら、外せるかい?

友:取れた。

私:そしたら、お皿の上にホイールを置いて、そっと回しながら引っ張ったらフリーボディーが抜けるから。この時、ラチェット爪とスプリングが2個ついていて、たぶん落っこちるから失くさないように。

友:おっと、1個落ちた。もう一つはついてる。スプリングがすごく弱い気がするんだよね。汚れはそれほどでもない気がする。

私:スプリングはそんなもん。きれいに洗ってね。オイルは何持ってる?なるべく粘度の低いの。

友:デュラグリスとか?

私:いや、グリスじゃなくて。チェンオイルとか、ない?固いとフリーが供回りしてチェンが弛んだりするんだよね。

友:フィニッシュラインのドライ用とウェット用。ドライ用はさらさら。ウェット用は結構固い。

私:じゃ、ドライ用でいこう。ラチェット部と樹脂ブッシュ部に塗って元に戻して。

友:ドライ用はさらさら過ぎる気がする。ウェット用にする。

フリーボディーを外した所

ラチェット爪受け部 洗浄後

さて、前置きが長かったが、ここからが本題。

友:ベアリングの与圧調整がいるよね。どうやるんだろ。

私:フリー側のナットを締めこんだら、メインシャフトの右端がシャフト付きナットの内側に突き当たるんじゃない?

友:突き当たらない。どこまでも入る。

私:えぇ?シャフト付きナットの内側は段付きになってるんじゃないの?

友:そんなことはない。シャフト付きナットの写真送るよ。

シャフト付きナット 内側から

私:前の写真(ハブ右側)では、フリー側シャフトの穴は丸穴に見えるんだが、メインシャフト右端は六角穴になってる、て言ってなかったっけ?

友:あぁ、写真はピンボケで丸に見えるが、実際は六角穴になってる。

私:真ん中の穴はメインシャフト右端面が見えてるんだ。(ここでようやく構造を理解)
つまり、シャフト付きナットはフリーボディーベアリングを介して右ハブベアリングを押していて、左ハブベアリングをメインシャフト左側の小判ナットで受けている、小判ナットは5mmくらいのカラーを介して左端ナットでダブルナット固定、シャフト付きナットの締め具合でハブベアリングの与圧調整を行い、シャフト付きナットにはダブルナット等のロック構造はなし、ということ?

友:部品をなくしているんじゃなければ、そういうことのようだ。ダブルナットじゃないのは気持ち悪いが。

私:そだねー。じゃあ、シャフト付きナットを手で突き当たるまで締めて、完成。

追っかけ、家のクロスマックスも整備して参考用に写真を送った。

左キャップ部 引っ張ると外れる。


キャップを外して六角レンチを入れた所

右サブシャフトを抜きかけた所 組む時は締め切り、メインシャフト右端面と右シャフト左端面で、フリーボディーベアリングと右側ハブベアリングの内輪を挟み込む構造

右サブシャフト 右はフリーボディベアリング内側に挟むワッシャ

ラチェットとスプリング ちょっと減ってるけど問題なし。

フリーボディー内側 手前は樹脂ブッシュ、奥はシールドベアリング(手前もボールベアリングに変えると動きがよくなりそう)



ラチェット爪受け部

洗ってラチェット爪を組んでオイルを塗った所

完成

長々書いたが、書きたかったのは、この手の作業(電話で口頭だけで構造を説明する)では部品に名前をつけるのが大事、ということ。
部品一つ一つに、その時の話の範囲での固有な名前をつけて、その名前で通す。あれ、とかそれ、とか言わない。ナットが複数あるなら、ナットとも言わない。正式な名前でなくていいから、シャフト付きナット、みたいに命名する。本当は正しい名前があるんじゃないか、などと弱気になってしまいがちだが、独断と偏見で一つに決めないと、どの部品を指しているのかあやふやになって、相手とイメージを共有できない、と思う。

ともかく、直ってよかった。
イベントでの健闘を祈る。

※友人より訂正あり。クロスマックスエンデューロ2005だそうだ。